日本企業で働いていた時、
私は一度、評価結果にかなり納得できなかったことがあります。
その時の会社では、
売上などの数値目標が設定されていて、
その達成状況によって評価ランクが決まる仕組みになっていました。
私はその年、
会社から設定された目標を達成しただけではなく、
目標を上回る結果を出していました。
そのため、自分では、
「今回はA評価になるだろう」
と思っていました。
ところが、実際に出た評価はBでした。
最初に結果を見た時は、
正直かなり悔しかったです。
目標を達成できなかったのであれば、まだ分かります。
でも、
会社が示していた条件を満たしているのに、なぜAではないのか。
それが理解できませんでした。
「A評価には人数制限があります」と、結果が出てから初めて聞いた
私は上司に、
「なぜA評価ではないのでしょうか」
と聞きました。
すると、その時初めて、
「A評価をつけられる人数には上限がある」
と説明されました。
当時の会社では、
A評価をつけられる人数に限りがあり、
その条件を満たす人が多かった場合は、
管理職同士で話し合い、
最終的に誰をA評価にするのかを決めていました。
さらに、
特定の部署だけにA評価が集中しないように、
部署間のバランスも考慮していたようです。
私はその説明を聞いて、
初めてその仕組みの存在を知りました。
それまで私は、
「会社が示したA評価の条件を満たせば、Aになる」
と理解していました。
しかし実際には、
条件を満たした後にも、
別の判断が入る可能性があったのです。
B評価になったこと以上に、後から初めてルールを知ったことが納得できなかった
B評価になったこと自体も残念でした。
評価ランクはボーナスにも影響していたため、
実際に私はB評価に応じたボーナスを受け取りました。
ただ、
私がそれ以上に納得できなかったのは、
A評価になる条件を満たした後で、初めて別のルールを知らされたこと
でした。
もし最初から、
「A評価には人数制限があります」
「条件を満たす人が多い場合は、管理職会議で最終調整があります」
と説明されていたなら、
結果の受け止め方は少し違っていたと思います。
しかし私は、
結果が出た後に初めてその話を聞きました。
そのため当時は、
「本当に最初から存在していたルールなのだろうか」
と疑いました。
会社の状況が厳しくなり、
ボーナスを抑えるために後から作られたルールなのではないか。
当時の私は、そう疑うほど納得できませんでした。
もちろん、
実際にそうだったのかは分かりません。
会社からそのような説明を受けたわけでもありません。
ただ、
評価の仕組みが見えなかったことで、
私は会社に対してそこまで疑いを持つようになっていました。
「自分が外国人だからなのか」とまで考えた
さらに当時、
私は、
「もしかして、自分が外国人だからなのか」
とまで考えました。
A評価の条件を満たした人が複数いる中で、
自分が下のランクになった時、
一瞬そう思ったのです。
もちろん、
国籍が実際に評価に影響していたのかは分かりません。
その証拠もありませんし、
今振り返っても、それを差別だったと考えているわけではありません。
ただ、
評価の仕組みが見えないと、本人は本来必要のない疑いまで持つことがある
ということは、
自分自身の経験から感じました。
会社側は、
組織全体の評価分布や部署間のバランスを考えて、
評価を調整していただけだったのかもしれません。
でも社員から見ると、
「なぜ自分の評価が下がったのか」
が分からない。
説明がない状態では、
自分なりに理由を考えるしかありません。
一度は「この会社を辞めようかな」と思った
当時の私は、
かなり悔しい気持ちになりました。
目標を超えても、
自分が知らないところで別のルールによって評価が変わるのであれば、
「何のために目標を達成するのだろう」
という気持ちにもなりました。
一瞬ではありますが、
「もうこの会社を辞めようかな」
と考えたこともあります。
最終的には、
会社のルールだと言われた以上、
私はその評価を受け入れました。
ただ、気持ちの中では完全には納得できていませんでした。
そして上司には、
「社員が知らない特別なルールや例外があるのであれば、事前に説明してほしい」
と伝えました。
こうした評価への不満や疑問は、結果が出た後だけでなく、定期面談の中で早めに確認しておくことも重要だと思います。評価やキャリアについて面談で確認したい項目は、「外国人社員との定期面談で確認すべき8つの項目|離職を防ぐ質問例と現場で感じたポイント」でまとめています。
もし次も同じように、
結果が出た後で初めて別のルールを知らされるのであれば、
その時は本当に退職を考えるかもしれない。
当時はそれくらい、
会社への信頼が揺らいでいました。
評価基準と「評価が決まる仕組み」は別
この経験をしてから、
私は、
評価基準を公開することと、評価がどう決まるのかを説明することは別
だと考えるようになりました。
例えば、
「売上〇〇円以上でA評価」
「目標達成率〇%以上でA評価」
といった基準が公開されていたとしても、
実際には、
- A評価の人数に上限がある
- 相対評価が入る
- 部署間のバランスを調整する
- 最終的に管理職会議で判断する
といった仕組みがあるのであれば、
社員が見ている「評価基準」と、
会社が実際に使っている「評価の仕組み」は同じではありません。
この部分が説明されていなければ、
本人には、
「条件を満たしたのに、ルール通りに評価されなかった」
と見える可能性があります。
今は会社側に調整の事情があることも理解できる
当時の私は、
「こんな評価制度はおかしい」
という気持ちが強くありました。
今は、
組織全体の評価分布や部署間のバランスなど、
会社側にも社員からは見えにくい事情があること自体は理解できます。
私は、
人数制限や相対評価という仕組みそのものを否定したいわけではありません。
会社によって評価制度は違いますし、
最終調整が必要な場合もあると思います。
ただ、
その仕組みがあるなら、結果が出てからではなく、できるだけ事前に説明しておく方がよい
という考えは今も変わっていません。
すべての内部判断を細かく公開する必要はないと思います。
それでも、
評価結果が変わる可能性のある大きなルールについては、
社員が事前に知っている方が、
結果に対する納得感は大きく変わると思います。
外国人社員に評価制度を説明するなら、どこまで伝えるか
この問題は、
外国人社員だけに起きるものではありません。
日本人社員でも、
評価制度が不透明であれば不満を感じると思います。
ただ、
日本企業の評価制度に慣れていない外国人社員の場合、
公開されている目標や条件を、
そのまま最終評価につながるものとして理解することもあると思います。
そこで後から、
「実は相対評価です」
「実は人数制限があります」
「実は管理職会議で最終調整します」
と言われれば、
本人には、
「後からルールが変わった」
ように見える可能性があります。
だから私は、
外国人社員に評価制度を説明する時には、
単に目標や評価項目だけではなく、
できる範囲で、
- 絶対評価なのか、相対評価なのか
- 各ランクに人数制限があるのか
- 条件を満たしても評価が変わる場合があるのか
- 最終評価を誰が決めるのか
- 想定外のケースでは、どのように判断するのか
まで伝えた方がよいと思っています。
特に、
「条件を満たせば必ずこの評価になる」のか、
「条件を満たしても最終調整がある」のか
は、
本人が事前に知っている方がいいと思います。
私なら「想定外のケース」まで含めてルールを決める
今の私が評価制度を作る側だったとしたら、
通常の評価基準だけではなく、
想定以上に条件達成者が出た場合にどうするのか
まで、できるだけ事前に決めておきたいと思います。
例えば、
A評価の条件を満たす人が想定以上に多かった場合、
全員をAにするのか。
人数制限を設けるのか。
相対評価で優先順位を決めるのか。
別の基準を使うのか。
そうしたルールまで、
できるだけ同じように説明し、
同じように適用する。
私はその方が、
社員にとって納得しやすい評価制度になると思います。
全員が自分の評価に満足する制度を作ることは、
難しいと思います。
ただ、
評価結果に不満があることと、評価ルールそのものを信用できないことは別です。
私の場合、
B評価だったこと以上に、
「なぜBなのかを、結果が出た後で初めて知ったこと」
の方が、
会社への不信感につながりました。
評価は、会社への信頼にもつながる
外国人社員の定着を考える時、
給与や仕事内容、人間関係に目が向きやすいと思います。
もちろん、それらは重要です。
ただ私は自分自身の経験から、
評価を納得できる形で受け取れるかどうかも、その会社で働き続けたいと思えるかに影響する
と感じています。
評価が低かったから、
すぐ辞める。
という単純な話ではありません。
私自身も、
その時すぐに会社を辞めたわけではありません。
ただ、
「努力しても、自分の知らないルールで評価が変わるのではないか」
と思った瞬間、
会社への見方は確かに変わりました。
評価への納得感や将来への不安が積み重なると、それが会社への不信感や離職を考えるきっかけになることもあります。外国人社員が早期離職につながりやすい主な理由については、「外国人社員がすぐ辞める理由とは?現場で感じた7つの原因と企業ができる対策」で詳しくまとめています。
評価基準を説明した。
だから社員も理解している。
とは限りません。
本人が知っているルールと、会社が実際に使っているルールは、本当に同じでしょうか。
皆さんの会社では、
外国人社員に評価制度を説明する時、
「何を評価するか」だけでなく、「最終的にどう評価が決まるのか」まで伝えているでしょうか。



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