「10年働きたい」と言っていたのに、なぜ1年で辞めた?外国人採用で見落としやすいこと

外国人採用

外国人材の採用面接や派遣面談で、よく聞かれる質問があります。

「長く働くつもりはありますか?」

企業側からすれば、当然気になる質問だと思います。

せっかく採用して、教育して、仕事を覚えてもらったのに、すぐ辞められてしまっては困る。

だから、

「できれば長く働いてほしい」

「少なくとも数年は続けてほしい」

と考えるのは自然です。

ただ、私がこれまで外国人材の採用や派遣に関わってきた中で、この質問について少し疑問を持つようになりました。

なぜなら、

「長く働けますか?」と聞くと、答えが似たものになりやすいからです。

「はい、長く働きたいです」

中には、

「最低でも10年は働きたいです」

と答える人もいます。

でも、その言葉だけで本当に長く働く人かどうかを判断するのは、かなり難しいと感じています。

日本に来る目的は、人によってかなり違う

私がこれまで見てきた外国人の中でも、日本に来る目的はさまざまでした。

短期間でできるだけお金を貯めて、数年後には母国へ戻りたい人。

日本企業で2~3年ほど経験を積んだ後、より大きな会社へ転職したい人。

最初から日本で長く働き、生活していきたいと考えている人。

また、

最初は一つの会社で長く働くつもりだったものの、

実際に働き始めてから、

給与、

会社の雰囲気、

評価、

仕事内容、

他社からのオファーなどをきっかけに、考えが変わる人もいます。

つまり、

同じ「日本で働きたい」という言葉でも、

その先に考えている人生はかなり違います。

それでも面接では「長く働きたい」と答えやすい

私がこれまで面談してきた人の中には、

日本企業が長期勤務を重視する傾向を事前に調べた上で、面接に来ている人もいました。

そして何より、

面接を受けている本人は、その会社に入りたいと思っています。

その状況で、

「2~3年後には転職も考えています」

「ある程度経験を積んだら別の会社も見たいです」

といった、自分に不利になるかもしれない将来計画まで率直に話すのは簡単ではないと思います。

もちろん、

全員が最初から本音と違うことを言っているという意味ではありません。

その時点では本当に長く働きたいと思っている人もいます。

ただ、

企業が聞きたい「将来の約束」と、本人が面接で答えている「今の意思」は、同じとは限らない。

私はそう感じています。

「10年働きたい」と言っていた人が、約1年で辞めることになった

実際に、

面談の時には

「最低でも10年は働きたいです」

と話していた外国人社員が、

約1年で退職を考えるようになったことがありました。

理由の一つは、給与でした。

入社前に条件は説明されていました。

本人も納得して入社していました。

ただ、

実際に日本で生活しながら働き、

仕事にも慣れてくる中で、

「思っていたより給与が低い」

と感じるようになりました。

入社前に理解していた金額と、実際に生活しながら働いた後に感じる金額の意味は、同じとは限りません。

そして本人は、

この会社で長く働き続けるよりも、

別の会社を探した方がいいのではないかと考えるようになりました。

その時、

派遣先から私はかなり厳しく言われました。

「長く働くと言っていたのに、なぜこんなに早く辞める人を紹介したのか」

「面談では10年働きたいと言っていたではないか」

派遣先の立場から考えると、

その不満も理解できます。

会社は、

本人の言葉を信じて受け入れています。

仕事を教え、

現場にも慣れてもらい、

これから戦力になってもらおうとしていたところで退職の話が出れば、

「話が違う」

と感じるのも無理はありません。

派遣会社でも「本当に長く働く人」を見抜くのは簡単ではない

一方で、

派遣会社の立場からすると、

ここはかなり難しい部分でもあります。

面談で本人が

「10年働きたいです」

と言った時、

それが本当に10年先まで考えた答えなのか。

採用されるためにそう答えているのか。

その時点では本気でそう思っているが、数年後に気持ちが変わるのか。

短い面談だけで、完全に判断することはできません。

私自身、

以前は

「長く働きたいと言っているから大丈夫だろう」

と考えていた部分がありました。

でも実際には、

その一言だけではほとんど分からないと今は感じています。

最初は短期のつもりでも、長く働く人もいる

反対のケースもあります。

最初は、

「数年経験を積めればいい」

くらいに考えていた外国人が、

実際に働き始めてから長く定着することもあります。

私が見てきた中では、

派遣先に外国人へのサポート体制があり、

相談できる人がいて、

周囲との関係もよく、

仕事を覚えていけば評価される。

そうした環境があることで、

最初に考えていたより長く働くようになった人もいました。

逆に、

入社時には長く働くつもりだった人でも、

昇給がほとんどない。

頑張っても評価されている実感がない。

職場で孤立する。

将来のキャリアが見えない。

といった状況が続けば、

考えが変わることがあります。

外国人社員の退職は、採用時の意思だけではなく、給与、評価、人間関係、キャリア、生活環境など複数の要因が重なって起きることがあります。詳しくは、「外国人社員がすぐ辞める理由とは?現場で感じた7つの原因と企業ができる対策」でまとめています。

つまり、

長期定着は、採用時点の本人の意思だけで決まるものではありません。

入社後の環境によっても、

その人の考えは変わっていきます。

「長く働けますか?」より、その先を聞く

そう考えるようになってから、

私は

「長く働けますか?」

という質問だけで、本人の定着可能性を判断するのは難しいと思うようになりました。

この質問には、

採用されたい人なら

「はい」

と答えやすいからです。

それよりも、

少し具体的に聞いた方が、

本人がどんな将来を考えているのかが見えやすくなると思います。

例えば、

「なぜ日本で働きたいと思ったのですか?」

「なぜこの会社に興味を持ったのですか?」

「3年後、5年後にどんな仕事をしていたいですか?」

「3年後、5年後は、どんな場所でどんな働き方をしていたいですか?」

「給与以外で、会社を選ぶ時に大事にしていることは何ですか?」

こうした質問です。

そして、

本人が

「10年働きたいです」

と答えたなら、

そこで終わらせず、

「なぜ10年なのですか?」

「その間にどんな経験を積みたいですか?」

と聞いてみる。

同じ「10年働きたい」という言葉でも、

その理由を聞くと中身が違って見えることがあります。

大切なのは、

正解を答えてもらうことではなく、

本人が何を目的に日本へ来て、何を基準に会社を選び、将来をどう考えているのか

を知ることだと思います。

面接で本音を見抜くだけでは、定着は作れない

もちろん、

質問を深くしたからといって、

その人が5年後、10年後も必ず残るかどうかを完全に予測できるわけではありません。

人の考えは変わります。

会社の状況も変わります。

だから、

面接で「本音を見抜く」ことだけを目標にするのも違うと思っています。

企業が考えるべきことは、

採用時に本人の目的や将来像を知ること。

そして同じくらい、

入社した人が「ここで長く働いてもいい」と思える環境を作ることです。

どれだけ面接で

「長く働きたい」

と言っていた人でも、

入社後に期待していた環境と違えば、

考えは変わります。

一方で、

最初は数年だけのつもりだった人でも、

会社からきちんと評価され、

周囲に相談できる人がいて、

将来が見えるようになれば、

長く残ることがあります。

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給与だけでなく、職場のサポートや人間関係、評価、生活環境などが重なり、外国人材が長く働いている職場もあります。実際の定着事例はこちらで紹介しています。

「給料は高くない。でも辞めない」外国人材が平均7年働く職場で見えた定着の理由

定着は、採用時に見抜くものだけではなく、入社後の環境でも変わる。

私は今、そう考えています。

「長く働く人」を探すだけで、本当に定着するのか

私自身も、

以前より

「長く働けますか?」

という答えをそのまま受け取らないようになりました。

長く働くと言ったから安心するのではなく、

なぜそう考えているのか。

日本に来た目的は何か。

数年後にどんな仕事をしたいのか。

その人が会社に何を求めているのか。

そこまで聞いて、

初めて少し本人の将来像が見えてくるのだと思います。

それでも、

本当に長く働くかどうかを完全に見抜くことはできません。

だからこそ、

「長く働く人を採る」ことと同じくらい、「長く働きたいと思える会社を作る」ことも必要なのではないでしょうか。

面接で、

「長く働けますか?」

と聞いた時、

皆さんの会社では、その「はい」の先まで聞いているでしょうか。

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