外国人社員に「報連相が足りない」と感じるのはなぜ?現場で見えた「報告すべきこと」の認識のズレ

コミュニケーション・マネジメント

外国人社員と働いていると、

「報連相が足りない」

「もう少し早く相談してほしかった」

「なぜそれを事前に言ってくれなかったのか」

と感じることはないでしょうか。

もちろん、単純に本人が報告を忘れていたり、必要な連絡を怠っていたりするケースもあります。

ただ、これまで外国人材と関わる中で、私は別の可能性もあると感じるようになりました。

それは、

会社と本人で、そもそも「何を報告すべきだと思っているか」が違う

ということです。

「報連相をしてください」と伝えても、会社が考える「報告すべきこと」の範囲まで本人が理解しているとは限りません。

今回は、実際にあった二つのケースから考えてみたいと思います。

「成果を出しているのに、なぜ報連相が足りないと言われるのか」

以前紹介した外国人派遣社員のMさんは、勤務先から何度も、

「報連相が足りない」

と指摘を受けていました。

Mさんの話については、「こちら」をクリックしてください。

しかし、Mさん本人は当初、その指摘を十分に理解できていませんでした。

母国で働いていたときは、自分に任された仕事をきちんと終わらせ、成果を出せば特に問題にならなかったからです。

そのためMさんには、

「自分の仕事はきちんとやっているのに、なぜ報連相ができていないと言われるのか」

という感覚がありました。

一方、会社側が求めていたのは、最終的な成果だけではありませんでした。

仕事をどこまで進めているのか。

問題が起きていないか。

どのような方法で進めているのか。

必要なタイミングで周囲と情報を共有できているか。

こうしたプロセスも含めて仕事を進めてほしいと考えていた可能性があります。

しかし、少なくともMさんには、その基準が十分に伝わっていませんでした。

Mさんにとっては、

「成果を出せばいい」

会社にとっては、

「成果だけでなく、そこに至るプロセスも共有してほしい」

という違いがあったのかもしれません。

同じ「報連相」という言葉を使っていても、両者がイメージしている行動は同じではありませんでした。

報連相は、仕事中のことだけなのか

もう一つ、まったく違うケースがあります。

これは私が直接担当した社員ではなく、私のミャンマー人の知人が、日本企業で正社員として働いていたときに実際に経験した話です。

ある年の長期休暇前、その知人は会社に、

「国内旅行に行く」

と伝えていました。

しかし実際には、家族に会うため母国のミャンマーへ渡航していました。

なぜ本当の渡航先を伝えなかったのか。

本人としては、

「休暇中にどこへ行くかはプライベートなことなので、会社に伝える必要はないと思っていた」

そうです。

ところが、当時のミャンマーでは、徴兵制度の運用強化などを背景に、若年層を中心に海外への出国審査や必要書類の確認が厳しくなっていました。

その影響もあり、本人は予定していた時期にミャンマーを出国できませんでした。

長期休暇が終わっても日本へ戻ることができず、結果として約3か月間、職場へ復帰できない状況になったといいます。

会社側も、そのまま待っていたわけではありません。

本人を日本へ戻すため、現地の大使館への問い合わせや、日本への入国・ミャンマーからの出国方法の確認など、さまざまな対応を行ったそうです。

本人にとっては「休暇中のプライベートな行動」だったことが、結果として会社にも大きな影響を与える問題になりました。

「プライベート」と「会社に相談すべきこと」の境界線

この話だけを見ると、

「海外へ行くなら会社に正直に言うべきだった」

と思うかもしれません。

私も、事実と異なる行き先を伝えたこと自体は問題だったと思います。

ただ、このケースを単純に「本人の報告不足」だけで終わらせると、もう一つのポイントを見落としてしまう気がします。

本人は、

「休暇中の行動は自分のプライベートだから、会社には関係ない」

と考えていました。

一方、会社からすれば、

「休暇後の勤務に影響する可能性があるなら、事前に相談してほしい」

という情報だったはずです。

ここで問題になるのが、

「どこまでがプライベートで、どこからが会社に伝えるべき情報なのか」

という境界線です。

もちろん、休暇中にどこへ行き、誰と会い、何をするのかまで会社が把握する必要はないと思います。

しかし、予定通り出勤できなくなる可能性がある場合はどうでしょうか。

そこまで本人が「会社に相談すべきこと」と認識しているとは限りません。

二つのケースに共通していたこと

Mさんとミャンマー人エンジニアのケースは、まったく違う話に見えます。

一つは仕事中の報連相。

もう一つは長期休暇中の出来事です。

しかし、私は二つのケースに共通するものがあると感じました。

それは、

本人が考える「報告すべきこと」と、会社が考える「報告すべきこと」が一致していなかったことです。

Mさんは、

「仕事をきちんと終わらせればいい」

と考えていました。

ミャンマー人エンジニアは、

「休暇中の行動はプライベートだから会社に伝える必要はない」

と考えていました。

どちらにも、本人なりの判断基準があります。

だから本人からすると、

「なぜこれまで報告しなければならないのか」

となる。

一方、会社側からすると、

「なぜこんな大事なことを報告してくれないのか」

となります。

もしかすると「報連相ができない」という問題の中には、スキルや意識だけではなく、こうした報告範囲に対する認識のズレも含まれているのではないでしょうか。

「報連相してください」だけでは、基準までは伝わらない

では、どうすればよいのでしょうか。

私自身、外国人材と関わる中で、最近は「報連相をしてください」と伝える前に、まず会社側が「どんなときに報告してほしいのか」を具体的に言葉にすることが必要だと感じています。

もちろん、すべての会社に当てはまる一つの正解があるとは思っていません。
ただ、少なくとも、

「報連相を徹底してください」

と伝えるだけでは、会社が求める行動までは伝わらないケースがあります。

例えば、

「作業が遅れそうな場合は、期限を過ぎてからではなく、遅れる可能性が分かった時点で相談してください」

あるいは、

「マニュアルと違う方法で進めたい場合は、自分の判断だけで変更せず、事前に相談してください」

と具体的に伝える。

長期休暇についても、

「休暇中の行動を会社に報告する必要はありません。ただし、予定通りの出勤に影響する可能性がある場合は、事前に相談してください」

と説明することはできます。

大切なのは、何でも報告させることではありません。

会社として「どんなときに相談してほしいのか」という判断基準を共有することではないかと思います。

「いつ・何を・誰に」だけでなく、「なぜ」まで伝える

もう一つ重要だと感じるのが、

なぜ報告が必要なのか

まで伝えることです。

例えば、

「毎日進捗を報告してください」

だけでは、本人には単なるルールや管理強化に見えるかもしれません。

しかし、

「この情報がないと、問題が起きたときに周囲がサポートできないためです」

「あなたの仕事を監視するためではなく、問題を早く発見するためです」

と目的まで説明すると、受け止め方が変わる可能性があります。

もちろん、説明したからといって必ず納得してもらえるとは限りません。

それでも、

「日本の会社ではそうするものだから」

で終わらせるより、なぜその会社で必要なのかを伝えたほうが、本人も自分の行動と結びつけて考えやすくなるのではないでしょうか。

ヒトデタリナイの視点|「報連相ができない」と決めつける前に

外国人社員から必要な報告が上がってこないと、

「報連相ができない人だ」

と考えてしまうことがあります。

もちろん、何度具体的に説明しても報告しないのであれば、本人側の課題として向き合わなければならない場合もあります。

一方で、こうした小さな認識のズレが積み重なり、結果として離職につながることもあります。

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だからこそ、私なら「報連相が足りない」と判断する前に、まず本人にこんな質問をしてみます。

「あなたは、どんなときに会社へ報告・相談する必要があると考えていますか?」

この質問への答えを聞くことで、会社と本人の「当たり前」がどのくらい違っているのかが見えてくるかもしれません。

そして会社側も、

「日本では常識だから」

「社会人なら分かるはずだから」

ではなく、自社ではどんなときに報告・相談してほしいのかを具体的に言葉にする。

外国人社員側にも、判断に迷ったときには自分だけで決めず、

「これは会社に相談したほうがいいですか?」

と確認する姿勢が必要だと思います。

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報連相は、外国人社員だけが一方的に身につけるものでも、企業だけが一方的に合わせるものでもありません。

会社が求める基準を伝える。

本人がそれをどう理解したのか確認する。

分からないことがあれば、本人からも相談する。

その積み重ねによって、少しずつ双方の「当たり前」を近づけていく。

これまでの経験や今回の話を聞いて、私は今のところ、そう考えています。

皆さんの会社では、

「何を報告してほしいのか」まで、外国人社員と共有できているでしょうか。

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