日本では、人手不足について聞く機会が増えました。
少子高齢化や人口減少が進む中で、
「人が採れない」
「募集を出しても応募が来ない」
という話を、企業の担当者から聞くことも珍しくありません。
私は仕事を通じて、さまざまな企業と外国人材の採用について話してきました。
その中で感じてきたことがあります。
人が足りない。
将来的には外国人材の採用も考えなければならない。
そう感じながらも、
実際に外国人を採用するとなると、
一歩を踏み出すことに強い不安を感じる企業は、まだ少なくないということです。
「日本語は大丈夫なのか」
「社内でうまくコミュニケーションできるのか」
「文化の違いでトラブルにならないか」
「受け入れた経験がないので、どうすればいいか分からない」
そうした不安を持つこと自体は、不思議なことではないと思います。
経験したことがないことに対して、不安を感じるのは自然なことです。
「外国人は考えていない」と言っていた企業から、再び連絡が来ることもあった
以前、
外国人材の採用について話した企業から、
「今のところ外国人を採用する予定はありません」
と言われたことがありました。
会社の中でも、
外国人を受け入れることに対して抵抗があり、
経験もないため、
まだ難しいという判断でした。
その時は、それで話が終わりました。
ところが、
それから時間が経ち、
再びその企業から連絡をいただくことがありました。
理由はシンプルでした。
人が集まらない。
日本人だけで採用を続けようとしても、
必要な人員を確保できない。
その中で、
以前は考えていなかった外国人材の採用を、
もう一度検討するようになったのです。
こうした経験を重ねる中で、
私は、
外国人材の採用は、
「外国人を採りたい企業だけが考えること」ではなく、
これまで外国人採用を考えてこなかった企業にとっても、
少しずつ現実的な課題になっていくのではないかと感じるようになりました。
ただ、
そこで終わりではありません。
外国人を採用すれば、
それで人手不足の問題が解決するわけではないからです。
採用できても、働き続けてもらえるとは限らない
私はこれまで、
十分なスキルを持っている外国人材が、
日本企業で働き始めた後に、
さまざまな理由で離れていく姿を見てきました。
本人には、
「なぜ評価されていないのか分からない」
と見えている。
一方、
企業側では、
「きちんと評価しているつもりだった」
ということがある。
企業側は、
「何度も説明した」
と思っている。
でも本人は、
「何を直せばいいのか、最後までよく分からなかった」
と感じている。
会社は、
本人のためを思って仕事を任せない。
本人は、
「自分だけ成長する機会を与えてもらえない」
と感じる。
どちらかが意図的に相手を困らせようとしているわけではありません。
それでも、
同じ出来事が、
企業側と本人側ではまったく違って見えていることがあります。
そして、
その小さな違いが積み重なり、
最終的には退職につながってしまうこともあります。
外国人社員が辞める理由は、一つの大きな出来事だけではなく、いくつかの小さな不満やすれ違いが重なっていることもあります。私が現場で見てきた離職の背景については、「外国人社員がすぐ辞める理由とは?現場で感じた7つの原因と企業ができる対策」でもまとめています。
そんな場面を見るたびに、
私はもったいないと感じてきました。
能力がないから続かなかったわけではない。
働く意思がなかったわけでもない。
もう少し早く、
お互いが見えているものの違いに気づけていたら、
結果が変わっていたケースもあったのではないか。
もちろん、
すべての退職を防げるとは思っていません。
会社側だけが変わればいいとも思いません。
外国人本人にも、
日本の職場で働くために理解したり、
変えていかなければならない部分があります。
だからこそ、
どちらか一方だけに答えを求めるのではなく、
両方の視点を見る必要があると思うようになりました。
私が外国人であり、人材会社で働いていることも、このブログの強みだと思っている
私は外国人として、
実際に日本企業で働いてきました。
その中で、
日本の会社で働く外国人として、
分かりにくかったことや、
納得できなかったこと、
後になって初めて理解できたことがありました。
一方で今は、
人材会社で、
外国人材と企業の間に立つ仕事をしています。
企業側がなぜその判断をしたのか。
なぜその言い方になったのか。
なぜ本人には伝わっていなかったのか。
以前は見えなかった企業側の事情が、
今は少しずつ見えるようになりました。
もちろん、
だからといって、
両方のことがすべて分かるとは思っていません。
ただ、
外国人として働いた経験と、
人材会社で企業側とも向き合ってきた経験。
その両方を持っていることは、
このブログで私ができることの一つだと思っています。
外国人本人が、
なぜそう感じたのか。
企業側は、
なぜその判断をしたのか。
どちらか一方を正しいと決めるのではなく、
その間にある違いを、
できるだけ丁寧に言葉にしたい。
私は、
その強みをこのブログにできるだけ反映していきたいと思っています。
「その間にあるもの」を伝える場所を作りたかった
これが、
私が「ヒトデタリナイ」を始めた大きな理由です。
企業に、
「外国人を採用すべきです」
と言いたいわけではありません。
外国人本人に、
「日本の会社に合わせるべきです」
と言いたいわけでもありません。
私がやりたいのは、
実際に現場で起きたことを共有することです。
企業からはどう見えていたのか。
外国人本人からはどう見えていたのか。
なぜ同じ出来事なのに、
受け取り方が違ったのか。
そして、
次に同じような場面が起きた時、
何かできることはないのか。
そうしたことを、
一つずつ考えていける場所を作りたいと思いました。
人手不足だから外国人を採る。その先を、どこまで考えているだろうか
私は、
外国人材を採用すること自体がゴールだとは思っていません。
むしろ、
採用した後に、
その人が会社の中でどう働くのか。
企業がどんな期待を持っているのか。
本人が何を不安に感じているのか。
どこですれ違いが起きそうなのか。
そこまで考えて、
初めて「受け入れる」ということになるのではないかと思っています。
だから、
このブログでは、
これから初めて外国人を採用する企業にも、
すでに外国人材を雇用している企業にも、
参考になるような内容を残していきたいと思っています。
過去に別の会社で起きたトラブルを知ることで、
自社では事前に準備できることがあるかもしれません。
入社前に、
期待する働き方をもう少し具体的に説明する。
評価の考え方を早めに伝える。
本人が不満を言わないからといって、
問題がないと決めつけない。
日本人社員には自然に伝わることでも、
外国人社員には理由まで説明する。
そうした小さな準備が、
後の大きなすれ違いを防ぐこともあると思っています。
そして、
その積み重ねが、
外国人材の長期的な定着につながっていけばいい。
それが、
このブログを通じて企業に届けたいことの一つです。
いつかは、外国人本人にも読んでもらいたい
今は、
日本企業の採用担当者や管理者を意識して書くことが多いですが、
将来的には、
日本で働く外国人本人にも読んでもらえる場所にしたいと思っています。
企業側の話を読むことで、
「会社にはこう見えていたのか」
と気づくことがあるかもしれません。
過去のトラブル事例を読むことで、
「自分もここは気をつけた方がいいかもしれない」
と思うこともあるかもしれません。
企業だけが変わるのでもなく、
外国人だけが変わるのでもない。
お互いが、
相手からどう見えているのかを少し知る。
そのきっかけを、
ヒトデタリナイが作れたらと思っています。
一人が長く働けることは、小さくても意味がある
外国人材を採用すれば、
日本の人手不足がすべて解決するわけではありません。
外国人材だけで、
日本社会が抱える課題を解決できるとも思っていません。
ただ、
せっかく日本で働きたいと思って来た人が、
企業との小さなすれ違いを積み重ねて、
本来なら続けられた仕事を辞めてしまう。
そうしたケースを少しずつ減らすことには、
意味があると思っています。
一人の外国人社員が、
一つの会社で長く働く。
本人も、
企業も、
「一緒に働けてよかった」
と思える。
あわせて読みたい
給与だけではなく、職場の関係や生活面の支え、評価のされ方などが重なり、外国人材が長く働いていた職場の事例を紹介しています。
「給料は高くない。でも辞めない」外国人材が平均7年働く職場で見えた定着の理由
そういうケースが少しずつ増えていけば、
企業の人手不足にとってもプラスになる。
そして、
その積み重ねは、
長い目で見れば、
日本社会が抱える人材不足という課題にも、
小さくても良い影響を与えられるのではないか。
私はそう考えています。
私は「外国人材の専門家」ではない
このブログを続けるうえで、
一つ大切にしていることがあります。
私は、
外国人材について何でも知っている専門家ではありません。
今まで見てきたケースにも限りがあります。
まだ経験していない問題も、
知らないことも、
これから出会うケースも、
山ほどあると思っています。
だから、
最初から正解を知っている人として、
記事を書くつもりはありません。
ただ、
外国人として日本企業で働き、
今は企業と外国人材の間に立つ仕事をしながら、
さまざまな出来事を見ています。
その意味では、
読者より少しだけ先に、
いくつかの失敗やすれ違いを経験してきた人間なのかもしれません。
だから、
その経験を共有したいと思っています。
「私の経験では、こんなことがありました」
「当時はこう考えていたけれど、今は少し違う見方をしています」
「このケースでは、企業にはこう見えていました」
「本人には、こう見えていたようです」
そういう話を、
これからも一つずつ積み重ねていきたいと思っています。
困った時に、「まずヒトデタリナイを見てみよう」と思ってもらえる場所へ
私がこのブログで目指しているのは、
答えを全部知っている専門家になることではありません。
外国人材を採用しようか迷った時。
外国人社員とのコミュニケーションで悩んだ時。
なぜ辞めたいと言われたのか分からない時。
企業の担当者が、
「似たケースがヒトデタリナイにあったかもしれない」
と思ってくれる。
そして、
いつかは外国人本人も、
「会社側にはどう見えているのだろう」
と思った時に、
このブログを見てくれる。
そんな場所にしたいと思っています。
まだ私が経験していないケースは、
これからもたくさん出てくるはずです。
だからこそ、
そのたびに現場で起きたことを見て、
考えて、
またここに残していきたい。
企業と外国人材の間にある距離を、
少しでも縮められるように。
そして、
一人でも多くの人が、
「この会社で働き続けたい」
「この人と一緒に働き続けたい」
と思える環境につながるように。
それが、
私が「ヒトデタリナイ」を始めた理由です。


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